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令和3年3月定例議会 町長施政方針

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はじめに

 

 皆様おはようございます。議員各位には先週金曜日より引き続きご苦労様でございます。始めに、海士町監査委員である中本勝利氏より、3月1日付で来たる3月31日を以て一身上の都合を理由に辞任したい旨、退職届が提出され、これを受理致しました。
 平成23年から丸10年という長きに亘り、公正公平な立場で町の行財政運営にご尽力をいただきました。この場をお借りしまして、中本監査員のこれまでのご功績に対しまして、町民を代表して敬意を表し、感謝とお礼を申し上げます。今後は、お身体にご留意されながら大所高所から町政全般に亘りまして、ご指導、ご支援を賜れば幸甚に存じます。

 

 それでは、ここに、第561回海士町議会3月定例会を招集致しましたところ、議員各位には何かとご多端の折、ご出席を賜り誠にありがとうございます。
 また、本議会の傍聴に、わざわざお出かけいただいた町民の皆様には、日頃より町政にご理解とご協力をいただき、改めて厚く感謝とお礼を申し上げます。
 先ず最初に、新型コロナウイルス感染症により、お亡くなりになられた方々のご冥福を心からお祈り致しますとともに、現在、療養中の方々にお見舞いを申し上げます。

 

 また、医療の現場で日々全力で取り組まれておられる医療従事者の皆様をはじめ、ご尽力いただいている住民や事業者の皆様に対しまして、心から敬意を表し感謝とお礼を申し上げます。
 さて、私は、平成30年、町長に就任して以来、「自立・挑戦・交流・継承・団結」~心ひとつに みんなでしゃばる島づくり~をスローガンに町政の舵取りにあたって参りました。
 令和3年度は、このスローガンを実現するためのチャレンジ総決算の年として、海士町らしい「承前啓後(昔からのものを受け継いで、未来を切り開くことの意)」を貫くために、これまでの取り組みを一層強化する体制を整えていく所存でございます。

 

 まず、私が公約として掲げてきた「半官半X」については、実現に向け新年度より推進体制を敷くことと致しました。具体的には新たに特命担当を配置し、半官半X枠で採用した職員とチームを組みながら、各課はもとより町民の皆さまとの連携を深め、役場職員が島のために、そして町民のために柔軟かつ活き活きと元気に、喜びを感じながら働ける体制を目指します。全国的に働き方改革が叫ばれる中、国でも民間でも同じような考えに立っており、今後海士町官民挙げての取り組みが社会のモデルとなるよう海士町経営補佐官(元リクルートキャリア水谷社長及びトビムシ竹本社長)のアドバイスをいただきながら推進して参ります。

 

 また、今年の7月にグランドオープン予定の新ホテル「Entô(読み:エントウ)」を起点とした、新たな外貨創出の仕組みをつくるため、特命担当を配置することと致しました。
 そして、ふるさと納税を活用した「海士町未来投資基金」の運用も含め、島の魅力向上と持続可能性を高めるための挑戦を支援しながら、「海士町複業協同組合」による島での新たな働き方への挑戦、「大人の島留学」による若者の中長期移住体験の推進などをはじめとする、各課における雇用政策や交流事業との相乗効果で、島に意志ある若者の還流を起こすべく、全課協働体制で取り組んで参ります。

 

 こうした連携推進を進めるためには、役場各課はもとより、議員の皆さま、町民の皆さまと、海士町における現状の課題や各政策の進捗状況を、常に共有しておくことも重要です。昨年より、町内各部署にある様々なデータを集約し、課題の可視化と分析が可能となる「海士町版RESAS」の開発を進めているところですが、これは全国初の取り組みでもあり、今年の7月には町民に向けた一般公開を予定しております。現状の課題を共有し共通認識を合わせていきながら、役場部署間を越えた連携はもとより、議員や町民の皆さまとも手を取り合い「みんなでしゃばる」体制づくりを行って参りますので、一層のご理解、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

 それでは、第561回海士町議会(3月)定例会の開会にあたり、令和3年度の町政経営に臨む私の基本的な考え方を申し上げ、町議会並びに町民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 

最近の経済情勢等

 

 日本経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあります。国の令和2年度第1次補正予算及び第2次補正予算の政策効果等もあり、持ち直しの動きがみられます。今後も感染症の対策如何によっては、内外経済を下振れさせるリスクに十分注意する必要があるとされています。
このような状況の下、昨年12月8日に、「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」を閣議決定し、総合経済対策を通じて、雇用と事業を支えながら感染症の拡大を防止するとともに、ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現を図り、防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保対策を進めるとしております。

 

予算編成にあたって

 

 本町は、平成16年度の地方財政ショック以来、住民サービスの低下を来さないよう「先憂後楽の精神」で、予算編成を行ってきました。その結果10年以上、赤字補填のための基金取り崩しのない決算を続け、令和元年度決算では12億4千万円と10年間で約5億円の基金を増加させることができました。
そして令和2年度には、第二期海士町創生総合戦略「海士町エンジン全開計画」や過去最大の投資事業であるホテルジオパーク拠点施設整備を前進させるため、攻めの予算編成を行ってきました。
一方、平成13年度末に101.5億円あった地方債残高は、令和元年度末は82.6億円(前年比約6億円増、臨時財政対策債9.1億除く)と一旦減少した地方債もここ近年では増加傾向となっており、再び100億円を超えることが予想されておりますが、有利な補助金などの特定財源等を確実に確保し、安定した財政運営に努力して参ります。
財政健全化判断比率については、自治体財政の健全度を表す実質公債費比率等の4指標と公営企業の資金不足比率いずれも財政健全化判断の基準を下回っております。

 

 人件費については、モチベーション向上のため職員給与を19年度以降少しずつ復元し、ラスパイレス指数は平成17年度72.4(全国最低値)から令和2年度は95.9(前年比0.5減)となり、島根県市町村では2番目に低い給与水準となっておりますが、令和3年度も引き続き先憂後楽の精神で管理職は5%程度のカット、また特別職についても20%から30%カットを行います。

 
 人口対策につきましては、令和2年3月に策定された第二期海士町創生総合戦略・人口ビジョン「海士町エンジン全開計画」に基づき、令和7年の国勢調査における総人口2337人を目指します。この半世紀、地方から都市へ人が流れていきましたが、今後は、都市から地方へ、海士町へ還流する「うねり」を起こさなければなりません。後鳥羽上皇来島800年を機に、令和3年度を「還流元年」と位置付け、強力に推し進めて参ります。

 

 昨年10月に行われた国勢調査の結果は、まだ確定ではありませんが、現在の予測では2270人程度を想定しております。目標の2300人に対して30人程度届かない結果となりましたが、人口減は最小限に抑えられたところです。
 今後もより一層「人と自然が輝き続ける」ために、「人」と「自然」との関係性を大切にし、島の歴史や伝統文化をともに継承していける意欲ある若者を受け入れ、お互いに切磋琢磨しながら、「更なる挑戦」を続けることが不可欠であります。

 
 そして、隠岐島前高校の卒業生会である「家督会」とも連携しながら、卒業生を含む全国の若者がこの島でチャレンジできる「大人の島留学」を推進し、「一緒にやらぁや!」「いつでも帰ってこいな!」と言える島づくりを目指して参ります。
 また、平成28年度から始まった(独)国際協力機構(JICA)との連携を一層進め、令和3年度もJICA職員の派遣を継続し、開発途上国の研修を受け入れ、交流を深めつつ、互いに学び合うことにより、まさに「ないものはない」の精神を核に、地域づくりに挑戦して参ります。

 
 冒頭でも申し上げました「承前啓後」を合い言葉に、守るべき島の歴史、伝統、文化を継承し発展させるための人口対策、定住施策を一層進めて参る覚悟でございますので、ご理解を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
 こうした考え方を基本に、提出致しました新年度当初予算の概要を申し上げますと、隠岐航路・旅客運賃助成事業で5千777万円余、庁舎建設事業で5千130万円、雇用機会拡充事業で7千万円、大人の島留学事業で7千442万円余、シェアオフィス・テレワーク拠点整備事業で5千34万円、海士町版リーサス開発事業で4千850万円、特定地域づくり協同組合推進事業で1千469万円、海士町未来投資基金事業で2千500万円、お山の教室事業で2千110万円余、ふるさと納税推進事業で1億6万円余、地上デジタルセンター設備延命化機能強化事業で1千100万円余、新型コロナウイルス対策費で7千5万円余、新型コロナウイルスワクチン接種事業で1千389万円余、福来の里増改修機能強化事業で2千720万円、福祉人材及び医師確保事業で6千486万円余、園芸用地造成整備事業で747万円余、みかん再生・特色米・海士産ぶどう等の推進事業で3千21万円余、共同利用牛舎建設事業で2千487万円余、畜産農家機械器具購入事業で800万円、地方創生推進交付金産業活性化・販路拡大商品開発事業で4千460万円、ICTを活用した定置網漁業生産向上事業で4千804万円余、いわがき作業保管施設建築事業で1億2千865万円余、水産施設延命化機能強化改修事業で2千800万円、しまねに定着・回帰・流入する人の流れづくり事業で1千500万円、ジオパーク拠点施設感染症対策等機能強化事業で5千130万円余、後鳥羽院顕彰事業で6千832万円余、島の駅キンニャモニャセンター店舗運営費で6千595万円余、社会資本整備総合交付金事業で道路分7千398万円、港湾分1億2千890万円、空き家対策事業費で8千159万円余、住宅新築整備事業で1億2千240万円、海士小学校普通教室増築事業で7千17万円余、小中学校教育魅力化事業で3千315万円余、地方創生推進交付金教育魅力化事業で6千800万円、ジオパーク拠点施設魅力化事業で835万円などであります。
 次に所管・部門ごとに主要施策の概要について、順次ご説明申し上げます。

 

健康福祉関連について

 

 児童福祉につきましては、まず出生数が令和2年度は12名で前年度より2名上回りました。こうした状況下、けいしょう保育園入所見込み数(本年4月推計)は、0歳~2歳児が30名、3歳児5名、4歳児17名、そして年長の5歳児が9名と全体で61名を見込んでおり、ほぼ定員数で推移しています。お山の教室には、3歳児が2名、4歳児3名、5歳児7名の計12名で、両施設合わせると73名が利用することになります。
 また、一昨年の10月から実施しております子育て家庭の経済的負担を軽減する国の「幼児教育・保育の無償化」の対象者は、3歳児から5歳児の児童、並びに0歳から2歳児の住民税非課税世帯の児童となっておりますが、本町ではこれに加え、3歳児から5歳児までの子供たちの副食費についても町独自の制度として無償化を実施しているとろであります。

 

 今後も、安心して子供を産み育てられる環境を整え、子供たちが健やかに成長できる町、子育て世代が魅力を感じられる町を目指していくために、「次世代育成行動計画」(エンゼルプラン)を基に関係機関との連携を強化し、切れ目のない相談支援サービスを提供して参ります。

 

 高齢者福祉につきましては、今ある施設や機能を活用しつつ、「海士町地域福祉計画」を基に、新時代にあった施策の充実を図って参ります。そして、「海士町社会福祉協議会」、「社会福祉法人だんだん」と同様に、「社会福祉法人あま福祉会」の特別養護老人ホーム諏訪苑、認知症対応型グループホーム諏訪苑への支援を継続して参ります。
また、喫緊の課題である介護職員の確保につきましては、介護福祉士養成校との連携によって、平成26年度から実施している「学生の島体験事業」、「実務経験者のスクーリング」を継続するとともに、学生が体験事業で本町に滞在している時間を有効的に活用できる内容を提供することで、より島の生活や福祉現場の実態に理解を深めながら、確保と定着化に努めて参ります。

 
 昨年10月に新たに創設した「介護従事者等確保対策事業給付金」は、町民の皆様にこの島で安心して住み続けて頂くために、また現在最も求めている諏訪苑の介護職員や福来の里の看護師、社協の介護支援専門員として働くために移住(UIターン)して来られた職員を対象に、移住支援金、引越し支援金として給付するものです。因みに、先月から2名の方が本土より移住され、特別養護老人ホーム諏訪苑の職員として働いておられます。更に、昨年12月に創設した「介護福祉士養成奨学金貸付事業」は、介護福祉士の養成校等に在学する方に修学資金を貸付、卒業後に介護福祉士の資格を取得し、町内の福祉施設で介護業務に5年間従事した場合は、貸付金の返還が免除となる制度です。昨年養成校との「島体験事業」に参加した外国人留学生2名が、この介護福祉士養成奨学金貸付事業により、令和4年4月から本町の福祉施設で働くために移住して来られる予定となっております。
 今後も引き続き、島生活の「最後の砦」特別養護老人ホーム諏訪苑とグループホーム諏訪苑が安定的に経営していけるよう、社会福祉法人「あま福祉会」と「だんだん」、海士町社会福祉協議会と町が連携を図り一体となって取り組みを進めて参ります。

 
 障がい者福祉につきましては、「一人ひとりが夢を持ち、自分らしさが生きるまち」を基本理念に掲げる「海士町障がい者プラン」に基づいた施策の推進を、就労継続支援B型事業所「さくらの家」、障害者相談支援センター「ウェーブ」とともに図って参ります。

 
 保健活動につきましては、子供から高齢者までを対象とした健康づくり事業を展開しておりますが、「がんによる死亡率が高い」、「脳卒中発症者が多い」等、多くの課題があるため、各種がん検診や特定健診等の受診率向上と早期発見に取り組んで参ります。
また、全国8地域の一つに選定され、松江医療センターと共同で実施している大規模認知症コホート研究事業は、6年度目を迎え引き続き専門医による認知症検査を継続するとともに、独自に取り組む認知症予防対策事業の充実を図って参ります。

 
 なお、新型コロナウイルスワクチン接種につきましては、未だワクチン到着の日程等の通知がなく困惑しておりますが、これが決まり次第に65歳以上の方々を対象に接種券等を郵送させて頂く手はずで段取りをしております。早ければ、4月初旬に接種券を送付し、予約を受け付けた後、5月中旬に海士診療所にて接種する予定であります。ワクチン接種の今後の情報提供につきましては、あまチャンネルや防災無線等でお知らせ致します。
最後に、今後も新型コロナウイルス感染症予防対策を推進しながら、健康に関する様々な情報発信を行うとともに、保健・福祉に限らず、町民の方々の様々な困りごとや悩みを解消するために関係機関に繋ぐことができる身近な相談相手になれるよう努めて参ります。

 

住民生活関連について

 
(1)国民健康保険事業
国民健康保険事業につきましては、特定健診及び人間ドックの受診率の向上、生活習慣病の発症や重症化予防対策に取り組んでおり、本町の全体医療費は、ここ数年横ばいといった状況にある一方、一人当たりの医療費は僅かではありますが増加傾向にあります。引き続き特定健診等の未受診者対策をはじめ、健診結果の分析、医療費分析等について県や国保連合会などと連携して医療費の抑制に努めて参ります。

 

診療所関連について

 

  診療所を取り巻く環境は依然厳しいものがあります。引き続き課題等を整理しながら、住民が安心できる医療体制整備に取り組みます。
新型コロナウイルスの収束が見通せない中、診療にあたる医師はじめ看護師等医療従事者は、日々危機感を持って患者と向き合っています。引き続き感染対策には万全を期し、島唯一の医療機関である診療所を守っていきたいと思います。
 喫緊の課題としては、看護師不足です。個々の負担が大きくなっており、何とか確保して安定した医療提供ができるよう、手立てを講じたいと思います。コロナ禍でありますので、オンラインツアーや人脈を駆使し、糸口を見出したいと思います。
 リハビリに関しては、リハビリ室ができたことや、作業療法士及び理学療法士が確保できたことなどから需要が高まり、患者の評判もいいと伺っております。まだ立ち上がったばかりでありますので、患者の意見や他施設での取り組みなどを研究し、更に充実させるよう工夫したいと思います。
 また、現在行っている派遣医師による眼科、整形外科、精神科の診療は、島に住む患者にとっては非常に有難い専門外来であります。引き続き、関係機関との連携及び派遣医師とのコミュニケーションを図りながら、体制維持に努めて参ります。

 

産業振興関連について

 
 産業の振興に関しましては、第二期海士町創生総合戦略「海士町エンジン全開計画」に基づき、地域資源を活かした持続可能な安定経営の基盤づくりを図るための事業を展開して参ります。

 
(1)農業振興
 海士町の農業の中心である水田営農においては、「海士の本氣米」の販売促進活動に積極的に取り組み生産拡大を図っていくとともに、契約栽培における新規需要米の生産並びに加工によって付加価値を付けるなど、農家の所得向上を図って参ります。
 また、一方で農業の後継者不足と高齢化の問題は年々深刻さを増しております。耕作を諦め荒廃する農地が発生することを防ぐためには、各集落において共同で農業を行う体制が不可欠です。多面的機能支払交付金や中山間地域直接支払交付金制度を活用し、農家と一体となって、集落協定組織単位での戦略を練り、農地維持や耕作環境向上への支援を模索して参ります。
 また、園芸の振興におきましては、島根県が推進する「水田園芸の振興」における「県単産地創生事業」等を活用し、ビニールハウスの整備を進め、露地栽培では限界となっている年間を通じた野菜の生産はもとより、新たな生産者が魅力を感じ参入しやすい環境を整えて参ります。

 
(2)農業基盤整備
 農業基盤整備に関しましては、特定農業用ため池において、防災減災上緊急性が高いため池から順に改修又は、廃止を図っているところであり、令和3年度からは県営農村地域防災事業において、「眞奥ため池」の改修に着手致します。
また現在、農業用ため池が小規模又は、常時水源に乏しいなど恒常的に水稲耕作に支障となっている地区においては、水源確保が可能となる設備を設置するなど、耕作が持続できるよう生産基盤を整えて参ります。

 

(3)畜産振興
 畜産業に関しましては、生産基盤を確保するため、継続的に牧野整備事業・共同利用施設整備事業を行ってきましたが、農家の高齢化による課題が出てきています。
 そうした中、地域内で飼養頭数維持拡大に向け頭数を補完する受け皿となる農業者や更に飼養頭数拡大を目指す農業者並びに新たな担い手に対して共同利用機械の導入、共同利用施設整備、公共牧野の機能向上など生産基盤整備を引き続き行い、年間出荷子牛販売頭数300頭、年間出荷肥育牛頭数288頭を目指し、更なる畜産振興と隠岐牛ブランドのレベルアップに努めて参ります。
 なお、隠岐島内で肉用牛飼養頭数が一番多い本町において、唯一獣医師が駐在していない状況にあります。県内においても獣医師が不足し、獣医師の確保は至難の状況にありますが、令和3年度より獣医師の確保に向け、関係機関と協議 を進めて参ります。

 

(4)地産地消の推進
 地元で生産された農産物を食することは、島の最大の魅力です。農産物や農産加工品の生産者も高齢化しており、安定的に提供できる体制を維持していくことが難しくなりつつありますが、地産地消を推進するため、引き続き新規生産者の発掘と育成を重点的に取り組んで参ります。
 崎みかんの復活を目指した崎みかん再生プロジェクトは8年を経過し、生産量は、目に見えて確実に増えてきております。令和2年度の販売実績から「崎みかん」は昔からの根強いファンがいることが伺われ、更に生産拡大を進めみかん農家の自立と収穫量の増加を目指す一方、収益確保のための高付加価値の商品開発や販売活動を推進することで、6次産業化も併せた展開を推進致します。

 
 なお、ぶどう・ワイン事業につきましては、新規生産者確保の取り組みを続けていたところ、昨年からのコロナ禍の影響を大きく受け、困難な状況に陥っていましたが、令和3年度より新たな生産者を確保できたところであります。
 ワインの生産は、いわがき春香や隠岐牛ブランドを発信していく上で重要な取り組みと位置付け強化して参ります。

 

キンニャモニャセンター管理運営について

 

 キンニャモニャセンター管理運営につきましては、令和2年度よりキンニャモニャセンター3店舗の運営を、(株)ふるさと海士から海士町直営となったことは、皆様もご承知のとおりでございますが、その切り替りと同時に新型コロナウイルス感染の流行による人の往来の自粛が続き、店舗の運営は厳しい状況に直面しております。しかしながら、キンニャモニャセンターの役割として、「来島者へのもてなし」をコンセプトに今は厳しくとも、継続してその役割を果たしていくことが使命であると考えておりますので、今後も皆様のご指導、ご協力をお願いする次第であります。
 また、施設の管理につきましては、平成14年完成以来、19年を経過し、施設の老朽化は進んでおりますが、抜本的な 長寿命化を図りながら、島の表玄関として常時使えるよう、点検・修繕に努めて参ります。

養殖いわがき「春香」関連について

 
 いわがき春香は出荷数増に伴い水槽等が不足することから海士港背後地に新たな作業保管出荷施設を建設中で、この秋にも完成する見込みです。この施設の完成により増産体制に向けたハード面の整備は当面ひと段落します。今後は種苗生産、養殖、営業の全てにおいて新規生産者の育成を強化し、世代交代と事業継承を着実に進めながら、「いわがき春香」の承前啓後に努めて参ります。

 

交流促進関連について

 
(1)新ホテル「Entô(エントウ)」について
 令和3年7月、新たな施設名「Entô」として、いよいよグランドオープンを迎えます。この新棟には、隠岐ユネスコ世界ジオパーク拠点施設の機能とその絶景を享受できる宿泊機能に加え、島を訪れるお客様と島民の交流施設の役割も担っていることから、従来のリゾート施設とは一線を画(かく)すまったく新しい価値観の複合施設として生まれ変わります。
 また、「島まるごと」のおもてなしを味わってもらうため、港でのチェックイン機能や、日中を楽しめるプランの企画、観光事業者だけではなく、町民の皆様と交流ができるような仕掛けやイベント企画、また、食事の提供も、地元の食材をメインにするのはもちろんですが、町内の飲食店とも連携することで、滞在日数を増やす仕掛け作りなど、ソフト開発を本格的に進めて参ります。

 
(2)海士町複業協同組合について
 昨年末、海士町のマルチワーカーをモデルとして創設された特定地域づくり事業の法律制定に基づき、全国第一号で設立した「海士町複業協同組合」は、現在、東京出身の28歳の若者を組合で雇用し、今年の1月から飯古建設の定置網事業部へ派遣し、まずは漁業の仕事を学びながら島の生活に馴染んでもらっています。4月以降は別の事業所を選択することにより、自分自身で働き方をデザインしながらチャレンジし、体験を積み重ねていくことになります。
 来年度は、組合職員を10名雇用する計画ですが、すでに5名の若者を採用することが決定しており、4月からは、計6名の組合職員が、季節毎の仕事量に応じて、それぞれ希望する事業所に派遣され、年間を通じた雇用と人材育成に取り組みます。
 また、派遣される事業所は現在5社ですが、町内の事業所を段階的に増やしていき、組合と事業所それぞれが地域の価値や魅力を高めることで、更なるUIターンの促進に繋げて参ります。

 
(3)ふるさと納税の拡充と活用方法について
 2020年は、町外の海士町ファンの皆様からのふるさと納税の寄付額が2019年を約2.4倍上回る初の1億円の大台に乗せることができ、地場産品の返礼品も三千万円もの売り上げに繋がりました。寄付された皆様には、この場をお借りしまして心より感謝とお礼を申し上げます。
 2021年は、更なる高みを目指しており、目標額2.5億円を掲げております。この目標を達成させるためには、町内の事業所の皆様や町民の皆様のご協力が必要不可欠となります。
 今年も既存返礼品の磨き上げと新規開拓、また島根県共通産品としての取り組みなど、魅力ある返礼品の造成を事業所の皆様と一緒に進めて参ります。
 また、地区版ふるさと納税を選択した方も大幅に増えてきています。地区名を指定しますと、納税額の半分をその地区に配分する仕組みですので、町民の皆様には、自身の地区のために島外にお住まいのご親族やお知り合いの方々に積極的にわがとこをPRして頂ければ幸いに存じます。
 一方、そのふるさと納税を原資とする地域活性化の取り組みですが、海士町の様々な分野で未来をともに創る挑戦を支援すべく、AMAホールディングス株式会社と海士町が協働して、「一般社団法人海士町未来投資委員会」を新たに設立したところであります。

 
 同委員会は、基金名を「海士町未来共創基金」とし、魅力的で持続可能な島の未来のために、人づくりと仕事づくりの好循環を創っていけるような事業に対して、町と同委員会が資金の援助や事業へのアドバイスなど、伴走者として寄り添いながら事業を応援していきますので、町民の皆様からのご応募をお待ちしております。
 新年度は概ね3件程度の案件を実行できるように考えておりますが、応募基準やお問合せに関しましては、広報海士3月号に掲載しますので、ご覧頂ければと思います。

 

(4)後鳥羽院遷幸800年のイベントについて
 本年は、海士町の歴史・文化の象徴である後鳥羽院が隠岐にお遷りになられてから、ちょうど八百年という節目の年にあたります。記念すべき目出度い年を町民の皆様と一緒にお祝いをしたいと考えております。
 本町はこれまでも、詩歌の大会や遠島御百首カルタの作成普及など、後鳥羽院を顕彰する様々な事業を進めてきました。また、昨年からは、後鳥羽院顕彰事業実行委員会を立ち上げ、GoTo文化展や島の文化会議などの開催を通じて議論を深めてきました。そして本年秋には、隠岐神社と後鳥羽院が上陸した崎村の三穂神社との間の「神輿渡御」をはじめ、後鳥羽院の伝承を島民自らが伝える「島民劇」の催しなどが決定しています。関係者からは、日に日に若者らの参加意欲が高まっていると伺っており、大変頼もしく期待を寄せるところであります。
 町民の皆様には、八百年という後鳥羽院と海士との深い歴史を遡りながら、本町が今後も大切にしていかなければならない本質や主体性というものを更に歴史から学び、深めていくスタートの年に繋がればと願っております。

 

環境整備関連について

 

(1)水産振興
 水産振興策についてですが、令和2年度において、大型定置網の漁獲向上を目指した新規漁網やICTを導入し、令和2年の水揚げは105tと平成30年度よりも29.6%向上しました。15年前の480tにはまだまだ及びませんが、引き続き、水産業従事者の所得向上と安定経営、更に漁業全般の担い手の確保と新規就業者の定着を目標に、人材育成と併せて離島の不利条件を打開するために鮮度保持技術の高度化の取り組みを図り、「活き活きと営める漁業」を目指したいと思っております。
 また、先般、子ども議会でも提案がありましたが、島の小さい子供たちや島を訪れた人たちに身近に魚に触れ合う機会をつくり、魚や漁業への興味を醸成し、漁協と協力しながら体験型の魚食普及や商品開発の取り組みも支援して参ります。

 

(2)ふるさと海士関連事業
 第三セクターふるさと海士は、平成17年3月の創業から農林水産物を核とした産業の活力と雇用を創出し、「ふるさと海士ブランド」の構築を目指してきました。
 令和元年度の売上高は3億311万6千円(税抜)、雇用経費や町内生産者・事業主様等への支払額は2億1,496万円(税抜)と約71%を占めており、海士町で生産・加工し外貨を獲得する地産地「商」は確実に成果を上げています。
 CAS事業については、漁獲物を獲れる時にしっかり入荷し、製造・保管していくための計画的なハード整備を進めていく中、第1弾として、冷凍保管庫を増設し収容能力の拡大により原料の安定確保に繋がりましたが、将来的には、いわがき春香の増産を見込み、現在の保管状況も検証しながら大型保管庫の整備やHACCPの機能強化等、戦略的に事業展開を進めて参ります。
 販促活動においては、前年からのコロナウイルスの影響を受け、これまでの顧客層に加え、新たな顧客の獲得を目指し、多様な広告・告知媒体により、海士町の認知度の向上や、ふるさと納税に繋がるような海士ファンを増やし、今後も安心・安全な商品づくりを行い、販路拡大を進めて参ります。

 

(3)漁港及び港湾整備
 令和3年度は、漁港については大きな施設改良等の予定はありませんが、施設の老朽化に伴い維持管理と修繕を行って参ります。港湾については、諏訪港北分地区物揚場整備に係る実施設計業務、また、須賀港防波堤改良に係る実施設計業務と基礎工の一部着工を実施致します。

 
(4)道路

 近年の道路整備は交通安全対策を軸に拡幅並びに歩道の整備を行っているところです。周辺住民の方には、工事期間中に、大変ご迷惑をお掛けし申し訳ありませんが、今後ともご理解、ご協力を賜りたいと存じます。
 また、現在改良中の路線(多井今井門線、西ノ原線)に併せ、宇受賀線の北分地区内についても、早期完成を目指し引き続き整備して参ります。
 その他町道につきましては、台風や大雪の時などは特に気にかけながら適宜パトロールを行う一方で、議会報告会などで島民の皆様からご意見のあった要望について今後も迅速かつ適切な維持修理・管理を行い、施設等の長寿命化や危険箇所の安全対策を図る所存でございます
 そして、島根県代行の日須賀線については、長期的な施工期間となっておりますが、海士方と上方を結ぶ重要な路線でありますので、一刻も早い完成と海士方と知々井・保々見両地区を繋ぐ県道海士島線知々井工区についても早期の事業着手が図られるよう、島根県へ強く継続要望して参ります。

 

(5)住宅

 町の様々な振興策を推進するための受け皿として、まずは住まいの確保が必須条件であることを鑑み、町営住宅のみならず、町内の空き家へ目を向けるなど、行政と民間とが連携し、総合的に検討していく必要があると考えております。そのために町全体の課題として住宅不足対策を解消して参ります。
 住宅の整備については、例年に引き続き空き家住宅の改修及び新築住宅の建築を進め、住宅入居申込者への早期案内を行って参ります。また、町内において管理がなされておらず、近隣に被害を及ぼす可能性のある危険な空き家に対する施策として、民間へ除却費用の一部補助制度を設け、費用負担の軽減を図ります。

 

(6)簡易水道・下水道
 簡易水道では、平成30年度から実施している電気計装設備等の基幹改良工事を新年度も引き続き実施致します。下水道においては、日常の保守点検を行い下水道施設の維持・管理に努めて参ります。

 

(7)環境衛生
 ゴミ問題、不法投棄につきましては、毎月のごみを拾おうデーの継続により、根気強く意識啓発を中心とした施策を講じて参ります。また、ゴミの分別・処理については、適正な分別がなされるよう引き続き啓発に取り組みます。なお、関連施設の維持管理においては、運営の効率化に努め、ゴミの減量化及びリサイクル対策を推進します。海岸漂着物についても補助事業を活用しながら継続して町内の海岸環境美化に努めて参ります。

 

(8)エネルギー関連
 風力発電設備により、町内の電力供給は安定したものとなりましたが、更に化石燃料の削減の一助となるよう、家庭における太陽光発電等の導入と併せ蓄電池設備の導入、また薪ストーブの導入等に対して、補助金による支援で後押し致します。
 また、エネルギーの地産地消を実現するため、企業と連携し、世界初の「循環型波力揚水発電」の実証調査を昨年に引き続き取り組んで参ります。

 

(9)林業振興
 一昨年度より配分が開始された森林環境譲与税により、近年甚大な被害が発生している自然災害の防止に向け、森林整備の推進を図っているところであります。今後も譲与税を活用し、人材確保と育成に力を入れながら、適切な森林整備の推進を図ります。

 

役場新庁舎整備関連について

 
 役場庁舎は、避難指示や災害対策など防災上重要な役割があり、住民の安心安全を守るための拠点となります。しかし、昭和44年に建設された現庁舎は老朽化、耐震性に大きな問題を抱えていたため、令和元年より住民アンケート等を考慮の上、基本構想・基本計画を策定し、令和2年度の着工を予定していました。
 しかしながら、日本国内でワクチン接種が始まるものの、いまだ新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、住民生活を守ることを最優先とする議会の皆様との共通認識のもと、令和2年度着工の延期を決定しました。役場新庁舎整備につきましては、今後の感染症の状況を見ながら、基本構想・基本計画に加え、感染症対策機能を有する設計・デザインを検討した上で着手して参ります。

 

消防防災関連について

 
 消防業務については、現在113名の消防団員の皆様に支えて頂いております。平成31年3月に火災出動してから、丸2年ほど火災が起きておりません。これは、住民のみなさまの火災に関する意識が上がったことと、消防団による啓発活動の賜物と思います。今後も地域住民の生命・財産を守るため、自信と誇りを持って一致団結し、住民の信頼と期待に応えられるよう努力して参ります。

 

情報政策関連について

 
 離島のハンデを克服する、また関係人口を拡大するツールとして、インターネットは必要不可欠であります。今後も産業振興や教育魅力化の挑戦を更に充実させるため、広く発信し外貨獲得や雇用拡大、移住促進に繋げるための一つの手段として、ICTの利活用をより一層推進致します。
 あまコミュニティチャンネルは、おかげさまで幅広い年齢層の皆さんに関心を持って頂き、最近では住民の皆様からの映像や画像の投稿も増えてきており、島らしいローカルメディアとして定着しております。昨年度から周知しておりましたIP告知端末については、予定通り令和2年度末にサービスを終了致します。そこで代替の情報発信手段として、あまコミュニティチャンネルや防災無線の宅内放送等に加え、「あまとめ」という海士町の情報を集約したWEBサイトを活用致します。「あまとめ」では、海士町に関するあらゆる情報が自動でまとめられ、防災無線情報や静止画告知情報も閲覧することができます。令和2年度末には、スマートフォンでのアプリ化を予定しており、一層利用しやすい環境を整えます。
 他方、海士ファンをはじめとする関係人口を増やしていくために、昨年12月に海士町LINE公式アカウントをリリースし、島との距離を超えた繋がりをつくっております。3月4日時点で海士町LINE公式アカウントの友だち数は869人となっており、そのうち約8%にあたる73名の方は、海士町へふるさと納税をして下さっていることもわかっています。海士町LINE公式アカウントでは、特にふるさと納税や後鳥羽院遷幸800年についての情報発信を強化していく予定です。
 また、情報発信の軸として海士町らしい心意気と生き様を表す「ないものはない」の海士町キャッチフレーズを積極的に活用し、一体感のある発信を心がけて参ります。
 隔月発行の「広報海士」も重要な媒体であり、住民はもとより出郷者の皆様、海士町を応援して下さる皆様など、海士町にご縁のある多くの方々にご覧頂いております。引き続き、紙・テレビ・インターネットという3つの媒体をそれぞれに活かし、連動させ、町内外への効果的な発信をしていきたいと考えております。

 

〔教育委員会関連について〕

 

 海士の教育に磨きをかけ、海士への愛着と誇りを持った貢献意欲のある「海士っ子」を育成するために、ふるさと教育を強力に推進して参ります。

 

(1)学校教育関係
 国が提唱するGIGA(ギガ)スクール構想がコロナ禍により前倒しされ、5カ年計画だったものが令和2年度中に全児童・生徒に情報機器端末とインターネット環境を整えることとなりました。行政では機器導入を行うと終わったように感じがちですが、学校現場ではいかに使っていくか。これからがスタートとなります。授業の質が上がるよう、教員の負担 軽減、働き方改革に繋がるよう、研修会開催等フォローを行っていきます。

 

(2)社会教育関係
 「地域と共に育て・育つ」という想いのもと、新年度は"学校・地域に寄り添う"をテーマに社会教育の充実に努めて参ります。文部科学省提唱の「コミュニティスクール」という地域との連携強化に取り組みます。「町・地区・学校というコミュニティの中で、地区と学校が発展するために対等の立場で理解し合い協力するための相談の場」としていきたいと考えています。
 ホテルに建設中のジオ施設は、海士町のみならず島前3町村へ誘導を促すビジターセンターと位置付け、ホテルはもとより隠岐ユネスコ世界ジオパーク推進協議会とも一緒に推進し、活動を展開していきたいと考えています。
 また、後鳥羽院遷幸800年を迎えるにあたり、顕彰事業実行委員会を中心に各種イベントが計画されています。町外からも多くの人が訪れることが期待されています。教育委員会では地元に目を向け、次なる900年に向かって「後鳥羽院は何故来たのか、どのようにして来たのか、どんな生活を送ったのか」そのようなことを大人から子供まで含めてともに学んでいきたいと考えています。

 

隠岐島前教育魅力化プロジェクト関連について

 

 先頃行われた島前高校の推薦入試(島留学)志願者数は79名と、47名だった昨年に比べて32名の大幅増の結果となり、倍率も2.5倍となりました。これは過去最高の出願者数であります。昨年は新型コロナウイルスの影響で、都市部におけるPR活動そのものが難しい状況でもありましたが、それを補うために島前高校としてはオンラインによる学校説明会を複数回開催しており、コロナ禍においてもこうした地道な活動を続けてきた結果が今回の出願者数増に繋がったと分析しているところです。
 また、島前3町村からの入学者も、近年は減少傾向にありましたが、今年は前年並みとなる20名程度の入学者の確保を見込んでいるところです。今後も島前3町村の中学生の数自体が減少傾向にあることから、島内生の確保は非常に厳しくなっております。これまで以上に危機感を持って取り組んでいかなければなりません。

 

 2019年に策定した「第3期島前教育魅力化構想」に基づき、新たな魅力化の動きをスタートさせていますが、「地域課題解決型」学習や「国際交流」「海外実践」、ICT(通信情報技術)の活用等、これまでの取り組みをもう一度見つめ直しつつ、島前高校の卒業生組織である「家督会」と協力しながら、島外に巣立った卒業生との関係づくりにも取り組んでいきます。昨年から始めた「大人の島留学」の取り組みを更に推進し、若者の受け入れと関係性づくりを行いながら、将来における島への若者の還流と島の担い手確保に繋げていきます。

 

 また、JICAやAPIC、(財)地域活性化センターなどの外部機関とも連携し、コロナ禍の状況にあってもブータンやミクロネシアとのリモートなどによる国際交流を継続し、オリンピックパラリンピックホストタウンの連携を通じたスポーツ交流にも引き続き取り組むと共に、都市部大企業のワーケーション等の誘致も積極的に展開することで、関係人口の拡大と深化を図っていきます。

 

 島前高校はもとより、隠岐4町村の関係各所や、地域住民の皆様とも手を取り合い、心を通わせながら、国や地域、世代を超えた交流を図ることで、地域の未来を担うグローカル人材を育成して参ります。
 今後も多くの試練が予想されますが、隠岐一丸となって持続可能な取り組みにしていくために、全力で努めて参ります。議員の皆さまの一層のご支援とご協力を宜しくお願い致します。

 

以上、私の施政方針並びに提案理由の説明を申し述べましたが、今議会に提案させて頂きました提出議案は、令和3年度一般会計予算、 59億2千208万5千円(対前年比8.36%減)となっております。特別会計予算につきましては、国民健康保険事業勘定特別会計3億2千889万2千円(対前年比10.16%減)、診療施設勘定特別会計4億1千952万5千円(対前年比18.51%減)、歯科診療施設勘定特別会計6千369万円(対前年比9.08%増)、簡易水道特別会計3億3千214万7千円(対前年比2.54%減)、下水道特別会計2億8千721万1千円(対前年比12.68%減)、後期高齢者特別会計8千698万円(対前年比2.75%減)となっており、各会計の総額は74億4千53万円(対前年比8.82%減)でございます。

 

 これら、予算案7案件のほか、予算以外の条例案など7案件で計14案件を提案しております。何卒ご審議のほど宜しくお願い申し上げまして、私からの説明を終了致します。
 

 

令和3年3月5日 海士町長 大江 和彦

 

 

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