7月7日(火)、隠岐神社の講堂にて、シンポジウム 第7回島会議「観光のムダと可能性」が開催されました。
島会議とは、島外の有識者や地域づくりに関心の高い皆さんが海士町に来島し、島の住民と一緒にこれからの地域のあり方や生き方を考え、全国に発信することを目的としたシンポジウムです。
一般社団法人・海士町観光協会が主催し、シンポジウム参加を伴う観光ツアー商品として島前地域へ経済効果をもたらす一方、全国各地で活動する地域づくりの関係者同士が繋がり、想いを共有するための貴重な場ともなっています。
今回は松江市観光協会玉造温泉支部との共催で、島内外からの参加者 50名で講堂はほぼ満員になりました。
第7回のテーマは「観光のムダと可能性」。
「思想の見えるまちづくり ~由布院の新たな課題と前向きな縮小へ~」と題した基調講演では由布市議会議員の小林華弥子さんが登壇し、全国的に有名な温泉観光地となった湯布院が、発展の一方で多くの課題に苦しみながら、数々の失敗を踏み台にして新しいまちづくりに挑戦している事例を紹介。
乱開発で土地利用が激変したために生じたゴミ問題、交通問題、景観の乱れやデザインの氾濫等、失われてしまった“湯布院らしさ”を再び取り戻すべく、『前向きな縮小』を目指して新しい価値観を追求していること、“住んでいる自分たちが暮らしやすい町”すなわち『生活型観光地』を目指していることなど、独自のまちづくりに懸ける熱い想いを語りました。
パネルディスカッションでは、環境がテーマの雑誌「月刊ソトコト」副編集長である小西威史さんが司会を務め、パネラーとして、松江市玉造温泉の復活に貢献し現在は株式会社玉造温泉まちデコの代表取締役である角幸治さん、由布市議の小林華弥子さん、由布院温泉観光協会事務局長の生野敬嗣さん、海士町観光協会事務局長(海士町役場交流促進課長)の青山富寿生さんが参加しました。
「必要なムダと、本当に要らないムダがある。ゴールが見えていないもの、実際はお客さんのためにやっていないものなどは要らないムダ!」(角さん)、「それらを見極めるための基準が要る。自分たちが何をやりたいかが明確になっていれば基準はおのずから見えてくるもの。僕ら(海士町観光協会)は宿泊施設について『島基準』を作ることに取り組んでいる」(青山事務局長)、「自分たちはこう暮らしたい、この町はこうあってほしいという思想、それを実践するための“守りたい価値観”、それこそが基準」(小林市議)等々、明確な想いをもった観光地づくり、地域での生き方に添う観光地づくりについて、さまざまな意見が交わされました。
(↑)左から、角さん、青山事務局長
最後のトークセッションでは、兵庫県在住で海士町の大ファンでもある俳人の木割大雄(きわりだいゆう)さんと、海士町観光協会に所属しマルチワーカーとして働きながら作品を発表している新進気鋭の写真家、太田章彦さんが登場。
『旅』をテーマに、ムダを楽しむセンスの大切さ、あちこちウロウロして自分勝手に面白がる旅(=旅行にあらず!)の話など、個性派ふたりのユニークな対談で会場を和ませました。
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ご来島、ご参加いただきました多くの皆さま、誠にありがとうございました。次回の島会議は、観光において大きな要素を占める『食』をテーマに、10月末に開催予定です。
一般社団法人 海士町観光協会 【℡】08514-2-0101