1月31日(土)、マリンポートホテル海士において、シンポジウム島会議「島の環境会議」が行われました。 島会議とは、海士町観光協会が主催する年間シリーズ企画で、島外から著名なゲストや地域づくりに関心の高い参加者を交流会付きのツアー形式で多数招き、来島者と島民とが語り合うことで、描きたい島の未来について全国へ発信していく場です。
平成26年度、「島の定住会議」、「島の観光会議」、「島の教育会議」、「島の暮らしと働き方会議」に続く第5弾となる今回は「島の環境会議」と銘打ち、環境保全の観点から観光のあり方を考える内容で、環境省中国四国地方環境事務所、隠岐世界ジオパーク推進協議会と共催。
会場は全国の観光関係者を中心に約70名の参加者で埋まりました。地元・隠岐からの参加者数はこれまで開催した島会議の中で最多となり、地元民の関心の高さがうかがえました。
基調講演で登壇した石村隆男さん(NPO法人「大山中海観光推進機構」理事長)は、大山を中心とした島根と鳥取の広域観光への取り組みについて説明。「観光客を増やそう」ではなく、「大山のファンを増やそう!」ということを最大の使命ととらえ、感動とストーリー性のあるエコツアーの提案や、自分ごととして受け取ってもらえるような情報発信を行っていることなどを事例を挙げながら説明しました。
(↑)「メッセージをどう作るかが大切」と説く石村さん
続いての講演は、大分県由布市から来島された太田 慎太郎さん(由布院温泉旅館組合 常務理事 青年部長)です。由布院のまちづくりと観光振興の歩みを振り返り、全国的なブームなど幾たびもの波を経て、「今、足元がぐらついている」と敢えて指摘。自分たちの強みと現状の課題を再確認し、「自然と人との融和、文化の蓄積、交流…という“原点”に今こそ戻り、新しい由布院を作っていきたい」と、軽妙かつ真摯な語り口で力説しました。
(↑)「交流なき文化に発展なし、交流なき地域に発展なし」(太田さん)
後半のパネルディスカッションでは、石村さんと太田さんに加えて、九州各地の様々なツアー商品を企画・販売する「旅のオアシス」営業統括本部長の戸田慎一さん、日本を代表するアウトドアブランドであり隠岐世界ジオパーク推進協議会とも提携を始めた「モンベル」の広報部課長、佐藤和志さんをパネリストに迎えました。
コーディネーター役としては地元隠岐から、島根県隠岐支庁県民局の宮原竜二観光振興課長に登場いただき、「もう一度、環境から観光を考える」というテーマで意見交換しました。
(↑)隠岐の観光の課題ついて客観的で的確なアドバイスを下さった戸田さん
(↑)「地元民が島でよく遊ぶことは環境の保全にもつながる」と説く佐藤さん
「隠岐への旅のプロローグをもっと上手に演出してみては?」「山陰の神秘性など、共通のキーワードを使ったウォーキングイベントをしてみてはどうか」(石村さん)、「地元の人が地元でよく遊んでいることはそのまま地域の魅力になる。例えばカヤックなどのアクティビティを柱にしてはどうか」(佐藤さん)など、隠岐ファンやリピーターを増やすための具体的な提案があり、隠岐で観光振興に携わる関係者にとってはさまざまなヒントが得られたようです。
遠路はるばるご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。
次回、今年度最後の島会議「島の経営会議」は、3月14日(土)開催予定です。
一般社団法人 海士町観光協会 【℡】08514-2-0101