平成26年1月25日(土)、菱浦港近くのマリンポートホテル海士を会場に、「しまね19市町村リレートーク:紡ぎ、育む わがまちのこころ」が行われました。
これは、島根の魅力を再発見して観光振興につなげるためのシンポジウム形式のイベントで、魅力ある観光地づくりを進めるきっかけになることを目的に、神々の国しまね実行委員会が主催して平成25年7月から行われているものです。
海士町では島内外から約70名が参加し、トークのテーマは、『旅を彩る「島宿」』。東洋文化研究者のアレックス・カーさんと和食料理家の齋藤章雄さんのお2人が講師として登壇しました。
カーさんは、古い町屋や300年前のかやぶき屋根の古民家を宿泊施設として再生した事例などを紹介し、昔からの景観や文化を損なわず地域本来の良さを活かしていく観光開発が必要であることを強調しました
続いて講演した齋藤さんは、地域らしい料理とは何か、住んでいる人たちが自らの声で自分たちの食について語っていくことの大切さなど、これからの地方の「和食」の在り方について、丁寧に説明しました。
トーク終了後は、同ホテル内のレストランにて夕食交流会「島の直会(なおらい)」。
齋藤さんが料理長として自ら腕をふるいプロデュースした、海士の地元食材をふんだんに使った『食材自給率100%』の和食フルコースが提供されました。
※上の写真は一部です
参加者からは、
「どれも、とても上品な味。シンプルでうまかった」
「サザエの肝を使った茶碗蒸しに驚いた。珍しい!」
「〝ひと手間かける〟とはこういうことなんだと感じた」
「観光客相手の地元飲食業者には大変参考になるのでは」
といった声が聞かれました。
また、講演を行ったカーさんも、
「シンプルで飾り気がなくても、ひとくちひとくちが実においしく感動した。素材の良さがそのまま伝わってくる、〝本物〟の料理」
と絶賛。
齋藤料理長は、
「今回使っているのは海士町で仕入れた食材だけ。ここにあるもので作る料理こそ、根付いてゆく。足りないものは新しく作ればいい。 素材をどう美味しく食べるかを考えてみて、ひょっとしたら塩だけでいいかもしれないし、醤油だけでいいのかもしれない。必ずしも本土から何かを仕入れなくても、いろんな食べ方、新しい食べ方、海士らしい食べ方を生みだせるかもしれない。 そうやって考え続けることが大切です」
との心構えを伝えてくださいました。
山内道雄海士町長は、
「隠岐は世界ジオパークに認定され、どうやって隠岐の良さを活かして観光につなげていくかを今後本気で考えていかねばならない。島の料理にも〝らしさ〟を求めることが大切であり、それを考えることがが『おもてなし』じゃないか」
と語っています。
今回のイベントは参加者にとって、それぞれの立場で、この島らしい観光振興への取り組みについて深く考えるきっかけになったようです。