今年2月上旬から約3週間、海士町の崎地区において、京都造形芸術大学(徳山詳直理事長)の映画学科『北白川派』による映画「カミハテ商店」(山本起也監督、高橋惠子さん主演)の撮影が行われました。
京都造形芸術大学映画学科では、『北白川派映画芸術運動』として、プロの俳優やスタッフと学生が共同で劇場用映画を毎年1本製作するというプロジェクトを行っています。
2008年に第1弾「黄金花 -秘すれば花、死すれば蝶- 」(原田芳雄さん、松坂慶子さんら出演)、2009年に第2弾「MADE IN JAPAN ーこらッ!」(松田美由紀さん、松原智恵子さんら出演)を製作し、いずれも全国で劇場公開しました。
「カミハテ商店」は、北白川派作品の第3弾となります。
主演した高橋惠子さん。 これは崎地区でのワンシーン。
玄関港のある菱浦地区でも撮影は行われました。見慣れないバス停が出現!
バスも架空の「上終行き」に。ベンチに座っているのが高橋さんです。
後ろから見るとこんな様子。 役者含め、半数以上が学生スタッフです。
おなじみの運転手さんも、映画用にメガネで変身。
バス会社は海士交通にあらず、「日本海交通」に…。
最果ての地・上終(カミハテ)で繰り広げられるストーリー。
寂れた雑貨屋の老いた女主人、チヨ(高橋惠子さん)が主人公です。
「本作品は、断崖絶壁の傍らで店を営む老婆の一冬の物語であり、自殺者を見続けて生きてきた孤独な人間の再生の物語である。」(企画書より抜粋)
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では、このたびの映画撮影の様子を振り返ってみましょう。
北白川派山本組が京都からはるばる海士へやって来たのは、2月10日。
翌日いきなりの大仕事は、カミハテ商店裏庭の栗の木を植えることでした。
崎の皆さんに手伝ってもらい、播磨区長さんのお宅からカミハテ商店まで栗の木を運びました。(ほぼ、崎のみなさんが運んでくれました!)
そしてこれが、メインセットのカミハテ商店です。
昔ながらの漁村風景が残る崎地区で、徳田屋さんの納屋を改装して舞台セットを制作。畳や床板は、京都から遠路はるばる運んできました。
時間をかけて作ったセットは見事に脚本どおりの空気感を再現していました。
「菊水」のレトロな看板は、多井地区の某お宅からもらってきたそうです。
こちらは裏口。みんなで運んできた栗の木があります。
商店の中に入ってみると…
雰囲気まんてん。さまざまな小道具(古道具!)が利いています。
学生たちが付近のお宅をあちこち回って交渉し、もう使っていないものや古い家具・雑貨などを譲ってもらってきたのだとか。
お店の奥の住空間も見事。畳もない空き家だったとは思えないほど、暮らしの空気を漂わせています。
今回、制作部屋としては崎地区の公民館(崎文化センター)を使用し、スタッフの皆さんは同センターで宿泊もしていました。
崎地区の皆さまには、ロケ隊の食事の世話や食材提供など多大なご協力をいただきました。また町も、撮影のための環境づくりや大道具・小道具の準備、スタッフの皆さんの島暮らしのサポートを行いました。
大学側も初の地方ロケということで、昨年の秋から崎地区で映画イベントを開催したり、食の感謝祭(隠岐神社で行われた秋の恒例イベント)にも参加してくださっていました。
撮影開始直前の2月12日にも、隠岐開発総合センターにて映画上映会を開催。雪も積もる真冬の悪天気の中でしたが、「千と千尋の神隠し」と「ツイノスミカ」を上映しました。
上映会の最後に挨拶をされた、監督の山本起人さん、主演の高橋恵子さん。
そして13日、いよいよ撮影開始です!
…が、いざ知夫里へ向かえども雪のため赤壁には辿り着けず、撮影を断念。
17日にリベンジし、無事撮影できました。
この日は天気も良く撮影も順調に進みましたが、風はとても冷たく、高橋さんは「耳がちぎれるかと思った」くらい寒かったそうです。ここでは菱浦地区在住の怜那ちゃんが、恵子さんの子どもの頃の役で出演しました。
今回のロケでは夜間の撮影が大変少なかったのですが、19、20日は夜のシーンの撮影も行われました。ここでは中里地区在住の玲華ちゃんが出演です。
女の子たちは、恵子さんやスタッフとすっかり仲良くなったようです。
週が変わるとすっかり春の陽気に。撮影も快調です。
崎での撮影風景をご紹介します。
出演された、あがた森魚さん。上終(カミハテ)のバス停のシーン。
菱浦地区や、中里地区の海士診療所でも撮影を行い、育休中のお母さんにお子さんと一緒に出演してもらいました。
セッティングでピリピリした空気も、赤ちゃん登場で和やかになりました。
こちらは菱浦地区のくわもと商店前での撮影。
ちなみに、通常は撮影期間中の食事はすべてお弁当で、しかも冷たくなってから食べるのが当たり前なのだとか。
しかし今回は、崎の奥様方のご協力により崎文化センターで毎日きっちり食事することができ、しかもイカづくし。「ご飯が美味しい!酒が進む!!」」と、みんなご機嫌でした。 ロケ期間だけで、今まで食べてきたすべての量に匹敵するほどたくさんのイカを食べたのでは!?というほどのいか三昧。
崎の奥様方、本当にありがとうございました。
(しかしかなりお疲れ顔の皆さん…)
その後、高橋さんとあがた森魚さんはすこしだけ早く撮影を終了。
26日に願誓寺であがたさんのミニライブを行い、翌日には東京へ戻られました。
ライブ会場では、高橋伴明監督も挨拶されました。
27日の見送りの後、ロケ隊は役場のシーンを撮り終えて、ようやく撮影終了。
3月4日までは景色などの撮影となりました。
そして5日、いよいよお別れのとき。
9:40菱浦発のフェリーしらしまで、本土へ。みんなのホーム・京都へ。
学生の方もプロの方も、スタッフの皆さん本当にお疲れさまでした。
そしてありがとうございました。
映画「カミハテ商店」はこの後、造形大の新年度の授業で編集・加工し、配給の営業活動まで学生も一緒に行います。
秋には造形大と海士町で完成披露上映を行ない、その後映画祭に出展。
来春には全国劇場公開予定です。その際にはぜひご覧下さい!
《映画について概要》
■原作:日當遥/山口奈津美(京都造形芸術大学映画学科 卒業生)
■プロデューサー:高橋伴明、林海象、古賀俊輔、福岡芳穂
■監督:山本起也
■撮影監督:小川真司
■脚本:山本起也、水上竜士/北白川派
■スタッフ:京都造形芸術大学映画学科 学生
■出演:高橋惠子、あがた森魚、寺島進、松尾貴史ほか
■配給:マジックアワー
■ロケ場所:海士町をメインに知夫里島の赤壁等
■形態:DV
■完成尺:100分(予定)
海士町交流促進課 担当:山岡 【℡】08514-2-0017
★脚本やスタッフ等、映画に関する詳細は⇒
京都造形芸術大学映画学科 【℡】075-791-9353(水上宛)