海士町は今年、宮中の恒例行事である新嘗祭に新米を献上する「献穀」(けんこく)の大任に預かりました。新米を供えるための第一歩として、5月22日、町内東地区の献穀者、佐々武男氏が所有する田んぼで、「平成23年度 新嘗祭献穀田御田植式」が執り行われました。
当日は、島根県副知事の松尾秀孝氏や県議員の方々に来島していただいたほか、山内町長や海士町議会議員の方々など約60名が参加しました。
神事の一つ「降神の儀」を執り行う隠岐神社の禰宜、村尾茂樹さん
隠岐神社の宮司、村尾周さんによる祝詞奏上の後、福井小学校3年生11名や、早乙女3名を含む奏植者33名が献穀田に一列に並び、竹村フサ子さん、 重矢シズヨさん姉妹が歌う田植え歌の調べと共に、御田植の儀として、田んぼに苗を植える儀式を行いました。
※祝詞奏上・・・神事の際、神の前で申し請う内容を読み上げること。
13.3aの田んぼに五穀豊穣を願った早苗が手際よく植えられる中で、小学生たちは、なれない田んぼのぬかるみに足を取られながらも、楽しそうに作業を行っていました。「冷たくてぬるぬるしてたけど、楽しかった。」との感想も。
御田植えの儀の後、松尾島根県副知事と山内町長から来賓祝辞をいただきました。
田植え歌を歌ってくださった竹村フサ子さんは「幼少の頃から姉妹5人で田んぼに並びよく歌っていた。5人の合唱で、はもりが出来上がったときはいつもより楽しく作業ができた。」と、 懐かしそうに思い出を語ってくださいました。
※田植え歌とはかつて豊作祈願を祈って歌われていた海士独特の歌唱です。
御田植の儀に参加した早乙女、濱中さん(写真中央奥)、花房さん(右奥)と田植え歌を歌った重矢さん(中央)と竹村さん(右)
海士町には、島前で唯一米作りのできる風土と、島に暮らす人たちの営みによって育まれた豊かな文化があります。それらを次世代に伝え、守っていくことで、海士の歴史を繋ぎ、町の発展に繋げていきたいと考えています。
なお、献穀田では9月中旬に刈穂を行い、10月下旬には精米約1升を皇居へ献納する予定です。
海士町地産地商課 担当:上田・本多 【℡】08514-2-1824