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加藤楸邨
加藤楸邨は、中村草田男や石田波郷とともに「人間探究派」と呼ばれる俳人であり、国文学者でもあります。楸邨が配流された高貴な歌人・後鳥羽上皇に思いを重ねるために隠岐へ渡ったのは、昭和16年、36歳の時でした。当時は、太平洋戦争の始まる直前であり、俳人たちにも思想的な弾圧の手が伸びはじめた暗く重苦しい時代。俳句界から孤立し、孤独と混沌を抱えた楸邨の胸に、隠岐の荒々しい自然と、流された後鳥羽上皇の孤独が押し寄せ、一気に178句の連作が生まれたのです。