海士は海の恵みを受けた土地ですので、恵比寿様への信仰には深いものがありました。
特に「十日戎」と言って正月の十日には様々な地区で祭りが行われています。
例えば崎地区には「だんじり」が伝わり、菱浦地区には四年毎に今も盛んに神輿が出ます。先払いや獅子に加え、お多福や男性が女装した文金高島田の花嫁、そして着ぐるみを着た「イカ」が行列で練り歩き、愉快。祭のクライマックスは恵比寿様の祠=神輿を元の位置に戻す海上渡御。
神輿を乗せ、大漁旗をなびかせて港を疾走する船上では乗船者全員が鼕と手拍子に合わせて「ヤーハーハハー」の掛け声を掛け、神輿船の舳先に立った先払いが乱舞する様は実に勇壮です。